ラン菌(木材腐朽菌)。
上の写真は、宇井 清太が世界で初めて発見した「菌根菌」になる木材腐朽菌(ラン菌)を
ハイポネックス培地で培養したものである。
この菌は、右写真の「ペレポストで10年地植え栽培したシンビジューム」の株元、A,B,Cの三地点の表層から
採取したものである。
培養して解ったことは、微生物の種類が極めて少ないということ。
ラン菌以外の好気性微生物は「アオカビ」のみである。
この圃場は、10年間殺菌剤は1回も散布していない。
それでもフザリュームによる株ぐされ、炭疽病による株腐敗、軟腐病菌による株腐敗は発生していない。
この理由が、この培養によって解明された。
つまり、この圃場の地表は、ラン菌が占有支配しており、他の好気性菌は生息繁殖できないエリアになっているいうことである。
木材腐朽菌(ラン菌)はペレポストのリグニン、セルロースで、他の菌が生息できない土壌を作り上げていたといえる。
この菌は、他の微生物に対して強い「拮抗作用」を持っている。
参考資料はここ
この木材腐朽菌を使うと写真のようにランのみでなく、多くの植物が驚愕の生育をすることが解ってきた。
素晴らしい生育と、病気に罹らない栽培は、園芸、農業の悲願である。
つまり「エネルギー」問題と「病気」の問題は、人間社会も、植物でも同じである。
エネルギーが無くては・・・生きることはできない。
健康を持続には「病害菌」が大きな障害になる。負ければ死に至る・・・。
この問題の中でリービッヒは食料生産増強という時代と国の要請の中で(ヨーロッパの政情)、
有機物も最終的には微生物によってイオン化され吸収されることを発見し「無機農業」を構築した。
この理論は、それまでのテーアの「有機農法」を根底から覆すもので、
化学肥料を使う簡便さと、植物の旺盛な生育は・・・瞬く間に世界中に広がって現在に至る。
植物工場の基本理論である。
この化学肥料農法は「病害」の発生を誘発し、化学農薬で病気を防止する・・・技術が世界中を席巻した。
これに疑問を持つ思考も生まれ・・・遺跡のように時代に埋もれていた「有機農法」が・・・
新しい農法のように・・・・ラベル、レッテルを代えて・・・流布しているのが現在である。
カネを取れるか、取れないかが・・・・農業の経営の根本である。
現在の「化学農薬農法」も「有機農法も」「自然農法」も、食の安心安全の狭間で、
根本的な問題解決の道を見出していない。
化学肥料も、有機肥料も・・・多収穫を狙う栽培では、必ず「病害菌」の洗礼を受けるからである。
病害の多発の前に無農薬の理想は「挫折」する。
つまり、畑の地表は・・・病害菌が占有しているからである。
堆肥を多く入れると・・・地表に病害菌が生息できない・・・ということではないからである。
堆肥の主要な菌、又は優占菌は「嫌気性」だからである。
畑の地表で生きられる菌ではない。
他方、病害菌のほとんどは好気性菌で「地表」に生息する菌である。
これでは、問題可決にならない。
糸状菌も増殖するが、同時に糸状菌の病害菌も増殖するからである。
有機作物の認定が、即「無農薬」「減農薬」にならない。
だから・・・・ウヤムヤ・・・・。
リービッヒの「無機農法」もテーアの「有機農法」も、大きな「盲点」がある。
それは・・・・
〇 植物のエネルギー調達。
リービッヒもテーアも、植物のエネルギー源は「光合成」一つという理論から構築されている。
植物進化約4億年」の歴史が、本当にエネルギー「補完ルート」を作らないで、
この環境の厳しい地球で・・・生き続けてきたのか・・・ということである。
日本だって・・・・一つのエネルギーではなく多様なエネルギーに分散している。
・・・・まだ「原発」を動かそうとしている。
こういう事例から考察すると、動物のように移動できない植物が、
光合成を常に脅かされている自然環境の中で、光合成で作る「澱粉」だけに命運をゆだねてきた
・・・こういう理論の上にきずかれてきた。
「ドベネックの桶」の項目要因に「エネルギー」と「病害菌」が入っていない。
葉を大きくする、体を大ききする・・・それが・・・より多くの光合成を行い、
それが・・・より多くのエネルギーとなり・・・・多収穫の唯一の道である。
そのように組み立てられている。
これは有機農法でも同じである。
堆肥を入れれば、土壌に微生物が多く生息するようになり、
土壌は団粒構造になりフワフワして・・・・根張りが良くなり、それが身体を大きく育て、
葉を多く茂らせ、大きくして・・・光合成を沢山行うようになり、多収穫できる。
葉で行う「光合成」を・・・より多く行うようにする技術が・・・「農業技術」の根幹である。
しかしちきゅうの自然は、植物には優しくはない。むしろ過酷である。
つまり・・・植物は「風雪に耐えて」・・・生き続けてきた。
光合成の阻害要因に満ちている環境である。
太陽が無ければ光合成出来ないが・・・同時に「紫外線」という殺人光線まで内包している。
こういうことに植物は対策を取らないで4億年生き続けてきたのか????
そういうことではなく、植物はもう一つの「エネルギー調達ルート」を構築していた!
枯れ葉を原料にして木材腐朽菌が作る「ブドウ糖」。
ラン科植物の無胚乳種子の発芽。
この発がに必要なエネルギー。
木材腐朽菌が産生する「ブドウ糖」だった。
つまり、多くの植物が、地球地表を支配している木材腐朽菌と共生することで、
根からもエネルギーを調達していた。
「菌従属植物」の葉を持たない・・・光合成出来ない植物が、
花を咲かせ、種子を実らせる・・・大きなエネルギーを、木材腐朽菌と共生することで得ていた。
ペレポスト栽培で、驚愕の生育をするのは・・・・
「エネルギー」不足」にならないからである。
フラつの方法でエネルギーを確保しているからである。
〇 病虫害。
木材腐朽菌が地球に誕生したのが2億8500万年前。
病害菌の誕生は・・・・それより・・・ずーと後のこと。
特に激しく・・・突然変異したのが・・・人間が農業を営むようになってから・・・。
窒素を多用し、同じ畑に連作する・・・・近代農業・・・・カネを得る農業を行うようになってから。
「地力増進」の技術は、同時に「病害菌増進」の技術でもあった。
リービッヒもテーラーも・・・この病害菌の突然変異を論じていない。
この時代、フランスでは「蚕」の病気が伝染して、蚕産業が壊滅した。
パスツールが・・・。
そういうことで…日本で「蚕」が産業になり・・・西欧に輸出できたのであるが・・・
菌といえば・・・パスツール。
パシツールといえば「嫌気性菌」。
この流れが・・・・100年後の現在でも「醗酵食品」・・・・につながっている。
農業で使用されているのも・・・ほとんど「嫌気性菌」。
「醗酵農業」である。
「○○酵素」も・・・嫌気性菌。
「EM菌」「ボカシ」も・・・・・
米糠・・・・・利用の・・・・モミガラ堆肥まで。(嫌気性菌ではリグニンを分解できない)r
これに依存してきた農業。
病害菌を抑止、根絶できない・・・。
これらの菌は病害菌が生息する地表で生きられない菌だからである!
多くの病害菌は酸素の多い地表を生息エリアにしている。
地球深く酸素の少ないエリアで生きる病害菌は、馬鈴薯を腐敗させる「細菌」など。
畑が水没すると・・・・馬鈴薯畑が全滅するのは・・・この細菌が・・・下剋上するからである。
大自然の林床は、木材腐朽菌が主役、優占菌である。
病害菌を抑止する「拮抗作用」を持っている。
それが2億8500万年の自然の法則である。
しかし、これまで、農業で、園芸で「木材腐朽菌」を無視、削除してきた。
多収穫、食料増産の流れの中で・・・より多くの肥料を与え、
病気が出たら・・・・「化学農薬」散布で・・・・。
肥料会社も・・・農薬会社も・・・巨大な会社に成長で来た。
資本主義農業が・・・新たな病害菌を生み出してきた。
ラン栽培の病害も例外ではない。
ラン菌削除で多肥栽培すれば・・・カンランも、コチョウランも・・・・腐敗病。
人間の欲の中で増殖する・・・。
欲イコール窒素…だからである。
現在の日本は・・・肥料教信者、窒素信者で・・・・。
農協は成り立っている。
宇井 清太が発見した「木材腐朽菌」。
「エネルギー」と「病害菌」という二つの問題を同時に解決する菌であることが解ってきた。
これを使用すれば「完全無農薬栽培」を可能にする・・・。
新たな農業、園芸を・・・。